Kasugai春日井製菓株式会社

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おかしなサマースクール

空の安全×お菓子の安全。異業種の対話から見えてきたこと

2026年9月2日(火)、おかしなサマースクールでご一緒した株式会社フジドリームエアラインズ(以下FDA、敬称略)の皆さんと「安全」をテーマにした意見交換会を行いました。航空会社とお菓子メーカー、一見するとまったく異なる業界ですが、どちらも多くの人が関わって、毎日の「当たり前の安全」を守っているのが共通点です。

▲特別に許可を受け、格納庫をはじめとした空港のバックヤードを見学させていただきました

今回の意見交換会では、FDAの皆さんから空の安全に対する取り組みをお伺いするとともに、春日井製菓のお菓子作りにおける安全の取り組みも紹介しました。

お互いの取り組みを知るなかで見えてきたのは、安全を支えるのはルールや設備だけではなく、一人ひとりの意識と、気づきを伝え合える関係だということでした。

おかしなサマースクールから、次の交流へ

FDAの皆さんとのご縁は「おかしなサマースクール in 愛知 2026」がきっかけです。

おかしなサマースクールは、企業や団体、行政、大学などが既存の組織の垣根を超え、子どもと大人の学びを提供する共創事業です。一つひとつの授業(イベント)は、企業や団体が持つ人的リソースや知識、技術、アイデアを持ち寄り、全くのオリジナルで企画・運営されています。共創の過程では授業(イベント)を企画するだけでなく、参画企業社員一人ひとりの学び合いや、新たなご縁、交流、対話を通じて、人材が成長できるのが特徴です。

そんな出会いの先に生まれたのが、今回の「安全」をテーマにした意見交換会でした。

航空会社とお菓子メーカーでは、管轄の省庁や法律が異なります。当然ながら現場の状況や設備、「安全」に関するルールも、全く異なるものです。しかし「自分たちの業界では当たり前の考え方をお互いに紹介し合うことで、何か新しい発見があるかもしれない」そんな思いから、今回の意見交換会が実現しました。

空の安全を支える、仕組みと一人ひとりの行動

FDAは、地方と地方を結ぶリージョナルエアライン(※)です。現在、17空港29路線を運航し、大手航空会社がカバーしにくい地域間の移動を支えています。

当日は、安全推進部のKさんから、航空会社における安全管理についてお話しいただきました。

安全推進部は、安全対策の立案や社員への啓発、安全管理体制の確認、監査、万が一不具合が発生した際の再発防止などを担っているとのこと。航空会社の安全管理は、ICAO(国際民間航空機関)が定めるSMS(Safety Management System)をベースに組み立てられているそうです。

私が特に印象に残ったのは、空の安全は一部の専門部署だけによって守られているのではないということです。

FDAでは、ヒューマンエラーに起因する不具合の分析を踏まえ、全社員が安全に関するコミットメントを宣言する取り組みを行っているとか。また、コックピットをはじめとした現場では、複数人によるクロスチェックを徹底。一人の経験や判断だけに頼らず、確認を重ねることでミスを防いでいます。

空の安全というと、高度な機器や専門的な技術を思い浮かべます。もちろん、それらは欠かせないことです。しかし、その仕組みを正しく動かすのは、人。一人ひとりが自分の役割を理解し、決められた手順を守り、気づいたことを報告する。その積み重ねが、安心・安全な飛行機の運航につながっていました。
※「リージョナルエアライン(地域航空会社)」とは、100席未満の小型旅客機を使用して、地方都市間や主要都市と地方都市、離島などを結ぶ近距離路線を運航する航空会社のこと



お菓子工場の安全を、自分たちの手でつくる

続いて春日井製菓からは、春日井工場で働く社員が行う、日々の安全活動を紹介しました。

工場では、製造設備や熱源、動力など、常にさまざまな危険と隣り合わせで仕事をしています。事故を防ぐためには、決められたルールを守るだけでなく、日常のなかに潜む危険に自ら気づく力が必要です。

そのために行っているのが、KYT(危険予知トレーニング)。なにげない写真やイラストを見ながら、どこに危険が潜んでいるか、どんな行動を取れば事故を防げるかをチームで考えます。日常作業を細かく分解し、危険度を数値化するリスクアセスメントや、一人ひとりが年間の目標を決める「安全宣言」にも取り組んでいます。

さらに特徴的なのが、年6回、全工場の生産ラインを丸一日止めて行う生産保全活動です。

工場の現場で働く社員が中心となり、製造設備を分解し、清掃や点検、メンテナンスを行います。作業前には電気や蒸気、エアーなどの動力を確実に遮断し、ロックアウト・タグアウトを徹底。生産部門も自分の担当ラインを超えて、また社内でも総務や広報など他部門の社員も参加できます。時には取引先の企業さんからの保全活動への参加も受け入れています。

この活動では、若手社員がリーダーを担うことが多いです。保全活動の活動内容自体をリーダーが考え、必要な準備を整え、メンバーや技術部門の部署と相談しながら活動を進めます。設備をよい状態に戻すだけでなく、社員が考え、周囲を巻き込み、仕事を進める力を育てる機会にもなっています。

生産を止めれば、その時間はお菓子をつくれません。それでも、安全と設備のために必要な時間として確保する。活動を続けた結果、生産効率が向上し、新たに安全訓練の日を増やすこともできました。安全と生産性は相反するものではなく、現場をよりよくする両輪だと感じます。

「注意する」だけでなく、安全な行動を認め合う

春日井製菓では危険な行動を注意するだけでなく、安全な行動を見つけて認め合うBOS(行動観察システム)も取り入れています。
例えば、決められた安全行動を取っている人に、「いつも安全をありがとうございます」と伝える。よい行動を言葉にして認めることで、その意味をあらためて理解し、周囲にも広げていく取り組みです。

安全活動というと、禁止事項や注意喚起が多くなりがちです。しかし「できていないこと」を指摘するだけでは、声をかける側にも、かけられる側にも身構える気持ちが生まれます。安全な行動を見つけて称賛する方法は、前向きに安全意識を高めるうえで大切な視点ではないでしょうか。

異なる現場にあった、同じ考え方

FDAと春日井製菓の取り組みを紹介し合うなかで、いくつもの共通点が見えてきました。複数人で確認し、一人の判断に頼らないこと。全社員が自分の安全行動を言葉にすること。起きたことを振り返り、仕組みを改善し続けること。そして、立場に関係なく気づきを伝え合うことです。

春日井製菓では役職名ではなく名前に「さん」を付けて呼び合う文化があります。工場長も現場に近い場所で働き、日常的に社員と言葉を交わします。生産保全活動では若手がリーダーとなり、年齢や所属部門を越えて意見を出し合います。

安全のために必要なのは、細かなルールをつくることだけではありません。「ここは危ないかもしれない」「別のやり方があるのではないか」と、誰もが声に出せる関係を日頃からつくること。その土台があってこそ、安全の仕組みが現場の行動につながります。

出会いを、一度きりで終わらせない

今回の意見交換会では、FDAの皆さんから春日井製菓の工場を実際に見てみたいというお話もいただきました。

資料や言葉で伝えるだけでなく、現場に立ち、そこで働く人の行動やコミュニケーションに触れることで、さらに具体的な学びが生まれます。今回はこちらが空の安全から学び、次はお菓子工場の現場を見ていただく。そんな学び合いが始まろうとしています。

おかしなサマースクールで生まれた出会いが、「安全」という新しいテーマで次の対話につながりました。FDAの皆さん、貴重なお話と機会をありがとうございました。今回得た気づきを、それぞれの現場での行動につなげながら、これからも業界の枠を越えて安全について考えていきたいと思っています。

広報担当 勝又裕子