Kasugai

第二回 黒あめバトンキャンペーン 深くてやさしいエピソード受賞作発表

特賞

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いす応募者:安馬 卓夫さん
監修絵本作家:今泉 和希

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今泉 和希

イラストレーター・絵本作家。舞台や映画のチラシやグッズなどを手掛ける。文芸社えほん大賞にて『ガタンゴトン』が大賞を受賞。ラジオ出演やWS、スコップスクールにてゲストプロナビ講師を務めるなど、多岐に渡って活動中。

今泉 和希

イラストレーター・絵本作家。舞台や映画のチラシやグッズなどを手掛ける。文芸社えほん大賞にて『ガタンゴトン』が大賞を受賞。ラジオ出演やWS、スコップスクールにてゲストプロナビ講師を務めるなど、多岐に渡って活動中。

原作者 安馬 卓夫さんの受賞コメント

妻の急逝から11年。喪失感が心の空洞になって残っていましたが、今泉和希先生のお力により温かい風が吹き抜けていくようでした。妻にも素敵な贈り物になりました。
妻の書き残した「いす」とともに絵本を見ては、生きる力にいたします。今泉先生はじめ絵本製作の関係者の皆さん、ほんとうに有難うございました。

応募時の400字エピソード

タイトル:いす

10年余り前、妻は脳腫瘍治療の退院後、肺炎を併発し再入院した。自力呼吸が困難になり声を失ってからの会話はメモ帳の筆談になった。
そんなある日、見舞いに行きベッドの傍らに立ってていると、文字を書く仕草。渡したメモ帳にはたどたどしい平仮名で「いす」と書かれてあった。
首を傾げていると、体を起こしかけて視線を病室の隅に向けた。そこには円い木椅子が置かれていた。「ああ、あれか」と言うと。
しんどそうな顔の目が笑った。自分の方がずっと辛いだろうに。切なかったが無理してこちらも笑い返した。
その後、妻は快方に向かうことなく逝ってしまったが、メモ帳は手元に残された。
妻を喪ってから慣れない清掃のパート仕事で挫けそうになった時、今もワンルームでの一人暮らしの寂しさに押し潰されそうな時には「いす」を見ては、癒され励まされている。

絵本作家の今泉 和希さんより

初めて原案有りの絵本を手掛けました。とても難しかったです。受賞者へのインタビューを経て、二人の関係があまりに素敵で、どうしたら絵に、言葉に出来るか心底悩み、何度も書き直しました。お二人とって、この絵本が宝物になれば嬉しいです。大切な思い出を送って下さり、本当にありがとうございました!

受賞作一覧

かさのたび

入院をしているお友達をお見舞いした帰り道、突然振り出した雨に主人公のアナは大慌て。そんなアナに見ず知らずのおばさんが「返さなくても良いからね」そう言って1本の赤い傘を差し出してくれました。
お友達のお見舞いで少し悲しい気持ちだったアナをそっと優しく包んでくれた赤い傘。この傘の優しさの連鎖がアナの心をあたたかくしてくれます。

ジャムパンとクリームパン

いつもママと行く大好きなパン屋さんへ、はじめて1人でおつかいへ行くことになったそうすけくん。
いつもママとくる パン屋さんも、ひとりでくるといつもと違う空間に思えるほど。少しドキドキしながらもママに言われた食パンを買うことができて、少し大人になった気分。
ママから「好きなパン買っていいよ」と言われたことを思い出して、大好きなジャムパンとクリームパンで悩むそうすけくん。悩んだ末に選んだパンだったけど、見ず知らずのおばあさんがタッチの差で買ってしまい、そうすけくんはショックを隠せません。そんなそうすけくんに気が付いたおばあさんがとった行動とは…。

おかえしだよ

ある日、ちいさいひとが家にやってきた。突然現れたちいさいひとに戸惑いながらも、一緒に眠ったり、時にはしっぽを捕まれることもあった。どんどんちいさいひとは大きくなって、そのちいさいひとは僕より大きくなっていき、ボールを投げてくれたり、お世話をしてくれるようになりました。

いす

ある年のお正月、突然妻が倒れた。病院での入院生活の中、話すことが難しい妻との会話は50音が書かれたノート。それでも妻と過ごす時間はとても楽しくてにぎやかな時間。ある日、自分で字を書きたいと言う妻が一生懸命書いた文字、それは「いす」という2文字だった。最初訳が分からなかったが、妻の視線の先にはまるい椅子が1脚。自分自身の方が辛いはずなのに、笑顔で椅子に座るように促す気遣いを忘れない妻。しかし、その2文字が妻の最後の文字となってしまった。そんな妻が残した「いす」という2文字に癒され励まされている主人公の心情を綴った物語。