子どもだけじゃない。大人だって大いに学べる夏がある 『第1回 おかしなサマースクール in 愛知』

Text by 真下 智子|Satoko Mashimo

\どえらい暑い愛知に、どえらい熱い夏が来た/

子どもだけじゃない。大人だって大いに学べる夏がある
『第1回 おかしなサマースクール in 愛知』

2023年夏。愛知県内に拠点を持つ、何の関係もない、てんでバラバラな業界12社が集まり、『おかしなサマースクール』を開講した。

「何かおもしろいこと、みんなでやっちゃおう!」

おかしな実験室(通称・おか験)の単なる思いつきとノリだけ、とも言えるような一言からスタートしたこのイベント。

大人編と子ども編の2段構成で、8講座・全9回行われた。

「本当に実現できるの?」

と間違いなく、誰もが雲を掴むような思いだった初回の顔合わせからわずか4カ月。
子どものようにあと先考えず、ただ楽しいことに向かって突っ走り、ゴールを駆け抜けた12社の裏側をお見せしたい。

8月末、『おかしなサマースクール』打ち上げの時の集合写真。業種も職種も職位もいっさい関係なし!
共に汗を流した仲間たちのこの笑顔が、イベントの大成功を物語っている。

愛知をおもしろくしたい!しよう!

愛知の蒸し暑い真夏の夜空に、おか験がドカン!と大きな花火を打ち上げた。

『ネタづくり、ファンづくり、きっかけづくりを通じて、会社と社会を明るくする。
面白くて笑顔つながる(おかしな)新しい挑戦をする(実験)部署』

とスローガンを掲げ、2022年2月に立ち上がったおか験。

これまでスナックかすがいをはじめ、おかしな実験農場』『おかしなメニューコンテストなど、どれもオッ!なんじゃそりゃ!あの春日井製菓が?と思わせるような様々な仕掛けに、業界をハイジャンプで飛び越えて多くの人が巻き込まれ、いや惹きつけられていった。

「今までにない発想を!」
「失敗を恐れずチャレンジを!」
そして「競争より共創を!」

との思いを胸に抱き、メンバーは日々あちこちにアンテナを張り巡らせ、何かを感知したらすぐにその場に自ら駆けつけ、電波の発信源となる“人”と繋がってきた。

これを春日井製菓では、“かすがう”と表現する。語源は木材をつなぎ合わせる「鎹(かすがい)」という釘だ。人と人をつなぎ合わせる=かすがう。というわけだ。

室長であり、『スナックかすがい』のマスターでもある原さんをはじめ、メンバー4人の探究心と行動力、好奇心と突破力、そしてちょっぴり照れ屋でおちゃめな憎めない人間力に、筆者はもちろん、これまでかすがってきた多くの人たちは、誰もが気づけばやっぱり巻き込まれていた。

3年という長い閉塞感から解放され、ようやく、そう本当にようやく語りたい人と思い切り語り合い、行きたいところに大きな歩幅で行けるようになった2023年の夏休み。

子どもたちだけじゃない。大人だって楽しまなくちゃ!と、おか験が旗振り役で初めて挑んだ『おかしなサマースクール』。

大人たちは集って、飲んで、笑って、いつもの職場から一歩踏み出して、新たな世界を少し垣間見る。
子どもたちは、思い切り体を動かし、お腹いっぱい食べて、もちろん夏休みの自由研究も絵日記も丸ごとお任せ!

そんなおか験の“思いつき”に賛同する企業を募った。
参加条件はただ一つ!

業界も規模も問わず、愛知にあって、愛知をおもしろくしたいと思っていること。

ただそれだけ。

するとあれよあれよと“おかしな”企業が次々と手を挙げた。もちろん業界も規模もバラバラなのは想定内。
そもそも何をやるのか、誰がやるのか、どうやってやるのかなど、誰も何もわからない。

航空機の設計会社、住宅都市公団、ドーナツ屋、え!?プロバスケットチーム?通常の事業では1ミリの接点もなければ、もちろん初めまして同士。
でも、だからこそ、きっと何かおもしろいことができるよね。ワクワクするよね。

本当にまったくの思いつきだけで、無謀とも言える愛知初、愛知発の「おかしなサマースクール」が位置についてよーいドン! 12人13脚でスタートしたのだ。

事前ミーティングは3回勝負!

「できたらいいよね」から「やるぞ!」へと変換したおか験。まずはおか験が主催する、今や恒例の人気トークイベント『スナックかすがい』で、かすがった企業への声かけから始まった。

★2023年4月6日(木)
おかしなサマースクール キックオフ!

◎正式に参加表明した企業は4社。
興味・関心があるだけでもウエルカム。最終的には参加は叶わなかった企業も含めて十数社の担当者が集った。

「初めまして」から始まったミーティングでは、おか験室長の原さんから『おかしなサマースクール』の企画の意図から、「一緒にやりたい!」という熱い想いが語られた。

実は、この段階では、当のおか験のメンバーからは、「本当に大丈夫なの?」「本当にやるの?」「他にタスクがあるから大変だな~ 」などなど、心の囁きが聞こえていた。ただ、そこは『スナックかすがい』を経験してきたからか、人が集まると「もてなしたい」という思いがムクムクと湧き上がり、自然と動き出す体になってしまった!?ようだった。
初めましての人同士が「出会えてよかった。同じ時間を共有できてよかった」と思ってもらえるよう、席の配置を考え、参加者同士が話やすい雰囲気になるよう、積極的に声をかけて回っていた。

そんな原さんの想い、おか験メンバーの心遣いは、この日ちょっと覗きに来ただけという企業の担当者の心を少しずつ動かしていた。

★2023年5月29日(月)
第2回おかしなサマースクール ミーティング

◎参加確定企業は8社。この日も参加未確定ながら、ミーティングに参加した企業も数社あった。

この日のテーマは具体的な講座内容の作成。
5つのグループに分かれ、自由にアイデアを出し合った。

美術は「ドーナツをグミでデコっちゃう」
技術は「みらいのクルマを考えよう」
社会は「活気ある街づくりとは?」
体育は「3ポイントシュートを学ぼう」
家庭は「おいしい野菜って何?」

などなどある程度の時間割の叩き台がおか験から出されると、グループ内での話し合いはどんどん活気を帯びていく。

どの企業とどの企業がかすがうと何ができるか。
いや、できるか、できないかはどうだっていい。
自分だったら何がやりたいか、何がおもしろいと思うかを大事にしよう。
そんな声が聞こえる中、奇想天外なアイデアがポンポン飛び出し始める。

キーワードは”おかしな”である。

「URさんがいるなら、空室の団地の部屋壁に子どもたちが自由に絵を描けるっていうのはどう?」
「ファイティングイーグルスの現役選手にバスケットを教えてもらえたら嬉しいよね」
「農場があるんだったら、野菜の収穫体験をして、自分たちで料理を作ったら、これぞ食育じゃない?」

“おもしろそう”から“カタチにしたい”と熱量が上がっていく。

★2023年6月8日(木)
第3回おかしなサマースクール ミーティング

◎ここで最終的に12社に確定。

大人向け、子ども向け、それぞれの講座内容をおか験が精査して決定!
7月半ばから、おか験が各社の担当者と個別に打ち合わせを始めた。

ここからの課題は実働部隊をどうするかだ。いつ、誰が、どこで、どう動くのか。
参加企業の担当者さんは、もちろんそれぞれ本業がある。しかも多くの仕事を抱える多忙な人ほど、“なんかおもしろそう!”と手を挙げ、さらりとやり遂げてしまうというのはよくあること。今回の各社の担当者も皆、多忙を極める。本業の合間を縫って事前準備を行い、当日は仕切り役にもなってもらう。

もちろん、イベントへの参画は会社から了承されているものの、果たして現場レベルでは理解してもらえたのか?上司の承諾は?などなど、さまざまなハードルが頭をよぎる。

なんせ、誰もやったことのない初めての試みだから。

そのあたりの各社の裏事情は、サマースクールの振り返りとなった『スナックかすがい スピンオフ企画 おかしな仕事の作り方』の中で紹介するとして…。

とにかく、参加してくれる大人も子どもも楽しかった!また参加したい!と思ってもらえるイベントにするためには、何より運営側のすべてのスタッフが、心から楽しまなければならない。そのためにもこの先は、“効率よく動く”ことが軸となる。そこで活用したのがLINEだ。

8月3日(木)の大人のための講座『夜の社長室』を皮切りに、全9回の日程を確定させると、運営に関しての情報共有もLINEを活用した。

12社の各担当者によるシナジー効果がもたらした想定外のスピード感とチームワーク

今回、参画企業の一つ、クリスピー・クリーム・ドーナツジャパンから、全ての講座の参加者に、ドーナツを一個プレゼントするという太っ腹な企画も実現した。

このドーナツを人数分、毎回店舗から現地に運び込む段取りをはじめ、備品の準備、会場設営など事前にやるべきことは果てしなく多い。しかも週末に開催されるものもあり、そもそもスタッフ全員が出席できるとも限らない。

誰が、いつ、何をやるか、具体的な動きもすべてLINEでやりとりした。

「はじめましての仲間だったのに、スタッフ一人一人のホスピタリティに圧倒されました。決して人任せにするのではなく、すべての人が自分ごととして捉え、次々と手を挙げ、役割がものすごいスピードで決まっていくんです」と語るのは、おか験メンバーの高木さん。

秋に自分が主体となって行うイベントを控え、そのことだけで頭がいっぱいだったという高木さんは、当初どこまでできるのかわからないと思っていたものの、仲間の動きに突き動かされ、全力で動き回っていた。

一方のおか験メンバーの田内さんは、「LINEをただただ眺めて追いかけるだけでした。あまりのスピードについていくことができず、現状を把握することだけで精一杯。それくらい皆さんの動きは早かった」と。

「どんなことも、できないとは思わない!と実行する室長の原さんの牽引力がすごかった」とメンバーの2人はあらためて振り返った。

夏ど真ん中のあつ〜い愛知で、のべ300人もの参加者を迎えて行われた『おかしなサマースクール』
ここからは、「3分でわかる、おかしなサマースクール」と題し、全講座を復習します!

第1限目『夜の社長室』8月3日(木)

第2限目『食いしん坊五感塾』8月9日(水)

第3限目『激論!我社のDX』8月10日(木)

第4限目『ゴキゲン仕事術』8月17日(木)

第5限目『おかしなバスケ教室』8月20日(日)

第6限目『江戸時代クッキング』8月26日(土)

第7限目『団地の部屋壁芸術祭』8月26日(土)

第8限目『おかしでドーナツデコ放題』8月27日(日)

このカテゴリの記事

人気の記事

おすすめの記事

2021/5/20

“おかし”な営業社員が奔走! お菓子愛を極めた先の「そこまでやりますか?」な話

2021/9/28

つぶグミプレミアムに春日井の本気を俺は見た!

2021/8/30
いかピーナ

ピーナの海に溺れたい!!松本ピーナ洋介社長、憧れの工場に初潜入!

2021/9/1
お菓子レシピ

甘じょっぱさがクセになる!塩ホイップクリームでいただく『炭焼珈琲ゼリー』