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【第1回 高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット②】「まちを見まもる企業たち」

春日井製菓とUR都市機構が連携協定を結び推進している「団地味ラムネプロジェクト」。その一環として、まちを良くするために活動している人が集うトークセッション「第1回高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット」を2025年7月30日(水)に開催しました。当サミットは春日井製菓のおかしな実験室が主催し30回以上開催してきた「スナックかすがい」の体裁を借りながら、まちを良くしようとする人たちが集うサミットへと昇華させたものです。当日の様子を第一部・第二部に分けてレポートします。動画アーカイブについては、春日井製菓公式Youtubeでも公開すこちらは第二部の物語ーー。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

 

目次

  1. このまちをより良くするためにやっていること
  2. 一人一人が作り出す町の「安泰」
  3. どんな関わり方でもいい

このまちをより良くするためにやっていること

第1部は「高蔵寺ニュータウンを沸かせる住民たち」によるトークセッションだったが、第2部では熱心に活動しているまちの人たちを、大きく広い心で見まもる企業や行政の担当者たちが、ニュータウンの未来について熱く語り合った。

第2部の登壇者は次の5名。簡単にご紹介。

水野貴大さん:春日井市役所まちづくり推進部に所属。ニュータウン創生課の企画担当主査。「ReNEW部」と「ReNEW宣伝部」プロジェクトを担当。

水谷有人さん:高蔵寺ニュータウンセンター開発株式会社 サンマルシェ営業部営業課主査

豊田章起さん:高蔵寺まちづくり株式会社 営業企画部

菊池健太郎さん:ホンダロジコム株式会社 ネオバリュークリエーション部SDGsグループ係長

池本誠一さん:独立行政法人都市再生機構(UR)中部支社 住宅経営部 ウエルフェア推進課 課長

セッションは予想外の展開からスタートした。サンマルシェの水谷さんがフリップを突然取り出し、「まずはこちらから!」との掛け声で、他の4名と一緒にフリップを掲げた。

「I」「♡」「高」「蔵」「寺」

豆彦:何の打ち合わせもしていないのですが、私も面食らう “入り”。いいですね!

この演出で、会場の雰囲気が一気に和んだ。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

 

豆彦まずはお尋ねします。このまちを良くするために、何をしていますか?

最初に答えたのは水谷さん。

水谷:サンマルシェは高蔵寺にしかないショッピングセンターで、来年50周年を迎えます。古い建物に何か魅力をつけたいと考え、マスコットキャラクター『まるるん』を作りました。高蔵寺のシンボルとして定着させようと奮闘しています。まるるんを通して新たなコミュニケーションが生まれるかなと思っています。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

水野有人さん


会社に公式インスタグラムの作成を提案したが、残念ながら願いがかなわなかったため、自ら「非公式」アカウントを立ち上げた。その後活動が認められ、正式の公式アカウントも開設。水谷さんの熱意が会社を動かした。
 

水野:「ReNEW部」は、高蔵寺ニュータウンにあるたくさんの魅力を、部活動のようにみんなで楽しみながら発信していこうと、2022年に春日井市役所とまちづくり会社と合同で立ち上げたプロジェクトです。まちの魅力のひとつに、お店もあります。ところが行政からの公平性の問題で、個別の店舗を紹介することが難しいのです。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

水野貴大さん

「ReNEW部」では、市民がまちの魅力を写真に撮って投稿。現在12名が活動しており、インスタグラムのフォロワーは3,700人。その後2023年に「ReNEW宣伝部」を結成。行政が店舗を紹介できない「公平性」の問題を解決するために、ボランティアで住民が部員となって取材・発信を行う仕組みだ。現在約30人が活動している。

高蔵寺まちづくり会社の豊田さんは、実は「ReNEW部」の前身となった活動の立役者だ。同僚と二人で「高蔵寺子育て部」というインスタグラムのアカウントを立ち上げ、約1年間運営していた。二人の地道な努力がなければ、現在の「ReNEW部」の発展はなかったと言える。

豊田:フォロワーが1,000人に届くまで、とにかく大変でした。どうしたらいいのかわからなくて、高蔵寺ニュータウン内にある動物の名前がついた27の公園を実際に全部回って写真を撮り、毎週のように投稿し続けました。今はサイトも素敵になっているので、もう私がアップすることはあまりないんですけどね笑。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

豊田章起さん

「ReNEW部」を立ち上げたまちづくり会社は、「新しい人を呼び込む」活動と、「今住んでいる人への支援」という両面での活動を展開。「高蔵寺に住み続けられるという安心感」が、新しい住民を呼び込む決め手になるという。既存住民が安心して暮らせる環境づくりに力を入れている。

菊池さんが勤めるホンダロジコムは、物流会社でありながら、まちづくりに積極的に関わっている。その象徴となるものが2025年7月26日に開園した、私設公園「高森台 Walkable Park Frutto」だ。菊池さんが所属する部署名は「ネオバリュークリエーション部」。訳すと「新しい価値を創造する」部署だ。

菊池:おそらく民間会社が公園をつくるのは、初めてではないかと思うのですが、儲けなどは考えていないのです。これがスタートなので、ここから皆さんに愛されるためにはどうすればいいのか、毎日考えています。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

菊池健太郎さん

最後は日本一の大家さん、UR都市機構の池本さん。URの前身である日本住宅公団は昭和30年7月に設立され、今年でちょうど70年。池本さん自身は平成8年入社で29年のキャリアを持つ。

池本さんが所属する中部支社には、4万8,000戸住宅があり、そのうち8,000戸が高蔵寺ニュータウンだ。

池本:このまちの未来に大きな責任を持つURの中で、「団地っていいな、こんな魅力的なところもあるんだな」ということがわかっていただけるような、新しい体験を提供するところに関わっています。私が着ている「団地味ラムネ」という言葉が書かれたTシャツも、高蔵寺ニュータウンの新しいブランディングの一環です。“コンクリートより固くなければいけない”と言われている組織の中で、このような前例のない柔軟な取り組みを通すのは、簡単ではありませんでした。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

池本誠一さん

一人一人が作り出す町の「安泰」

豆彦:高蔵寺ニュータウンの未来は安泰ですか?

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

―この問いに、登壇者たちは一瞬言葉に詰まった。挙手を求められても、すぐには手が挙がらない。少子高齢化、人口減少という報道、現実は決して楽観視できるものではない。

事前に行われた住民調査では、「挨拶」は比較的あるものの、「つながりを感じる」「誇りに思う」という回答は思いのほか少なかった。

最初に口を開いたのは、春日井市役所の水野さんだった。

水野:外から見た高蔵寺ニュータウンは、お年寄りが多い、人が減っていて元気がないというイメージが多かったですが、中に住んでいる方に聞いてみると、暮らしやすいし、自然も多い。サンマルシェみたいなショッピングセンターもあって便利という意見をたくさん聞きます。

外部のネガティブなイメージと、内部の実際の魅力とのギャップ。これを埋めるためにプロモーション活動を始めたという水野さん。

水野:今は、「ReNEW部」の活動が楽しいですし、安泰か?と聞かれたらわからないですけど、未来はあるんじゃないかと、今すごく感じています。人口減少は、全国的な問題としてあるものです。でも、今ここにいる人たちは自分がやりたいことをやって自分らしい暮らしを楽しんでいます。こういうまちは活気づいていくと思います。

豊田:安泰にするための活動を今まさに、まちづくり会社でやっています。我々30代が高蔵寺に住みたいと思う決め手は、「ここに住み続けられる安心感」があるかどうかだと思うのです。その安心感は、「今住んでいる方が安心して暮らしている姿を見ること」から生まれます。高蔵寺には、他の市町で普通に受けられるサービスが受けられない状況もあります。まちづくり会社では、こうした課題に対して、少しずつバックアップする事業も展開しています。

高蔵寺に「坂道」が多いという事実を、「自転車にとってはとてもいい坂」とポジティブに変換。毎月グループライドを開催し、多くの人が自転車を楽しんでいる。「欠点を長所」にする取り組みだ。

今の課題に目を向け、一つずつ解決していく。こうすることで安泰になっていけばいいと豊田さんは結んだ。

高蔵寺の未来は安泰か?という問いそのものを、自分の未来に置き換えたのが水谷さんだ。

水谷:高蔵寺に住んでいる人も、他のところに住んでいる人も、誰もが自分の住んでいる場所を「都」だと思っていますよね。結局、日本全体が高齢化を迎える中で、まちではなく、自分のマインドがどうかによって変わると思います。人のつながりが薄いと感じたら、一歩踏み出して出かけてみるとか、SNSでイベントを配信しているので、うまくキャッチしてそこに出向く。こうして自分が安泰であれば、住んでいる場所が安泰だと思えると思うのです。

ここで、水谷さんから発表があった。まるるんが、「ゆるキャラグランプリゆるバース2025」に参加を表明。冬のイベントに出せば「雪だるま」と言われ、ハロウィンで出せば「お化け」、雨の時期には「てるてる坊主」。これまで誰も「まるるん」と呼んでくれなかった。それでも水谷さんは、諦めずにイベントで前面に出し続けた。
9月末の「ゆるキャラグランプリ」の最終結果では、299キャラ中32位という結果に。

水谷:高蔵寺の皆さんの想いが、ここまで盛り上げてくれたのが何より嬉しい。私は安泰ですよ!

「安泰だと思えるようになってきた」と答えたのはホンダロジコムの菊池さんだ。2年前に公園をつくるプロジェクトが始まって、初めて高蔵寺を知ったという菊池さん。

菊池:私はいわゆる「外様」です。当初、高蔵寺駅から高森台の公園まで自転車で走ってみようと、真夏にママチャリを漕いで……死ぬかと思いました笑。坂がきつかった。しかもマンションだらけで、みんな自分の家を覚えられるのかな?と思ったのが第一印象です。

しかし2年間で印象が大きく変わった。いろいろ“部活”の人たちと会って話すと、高蔵寺を愛する人がいることに驚いたと。これだけの熱量のある人がいるなら、いろいろな課題はあっても、それを議論して揉んで、いい方向に持っていけるだろうと。

菊池:公園のきっかけも、一人の住民の「高蔵寺でみんなが集える場所があるといいよね」という一言でした。このまちはこの先も安泰ですよ。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

 

ここでも締めはURの池本さん。URは、生きていく基盤となる衣食住の「住」を提供している。すでに住んでいる方には安心して住み続けられるような環境を、URがある限り提供できると宣言。

池本:そこから先、まちが輝きを増すためには、そこにいる人たちが自らつながりを作り、活動し、羽ばたいていっていただきたいと強く思うのです。そのフィールドはURがこれからも提供していきますし、仕掛人の一人として伝播していくような「きっかけ」を作っていきたいと思っています。

新たな「団地味ラムネプロジェクト」にも並々ならぬ情熱を注いでいる池本さん。組織の中で新しいことをやり通すことの大変さを実感しながらも、それでも団地がこの先も安泰であるようにと、日々走り回っている。

いよいよセッションも終盤に。参加者からの声も届いた。

「高蔵寺ニュータウンの中央台で生まれ育ちました。ここにはいろいろな“得意”を持ったプレイヤーが多くいます。私は薬局に勤めており、健康と医療が得意なプレイヤーです。この分野で皆さんと一緒に連携して、まちを作っていきたいです」

「団地デザインプロジェクトのメンバーです。高蔵寺の団地に関わりながらも、実は住んでいません。ただ、まだまだ団地は奥が深いと感じました」

どんな関わり方でもいい

マスター豆彦氏は、お開きの前にこう語った。

豆彦:一人の人がまちをおもしろくできるんだということを、今回の登壇者から教えてもらった気がします。とはいえ、誰もが自分のことで精一杯で、時間もお金もない。気持ちの余裕もない。それでもいいと言われた気がします。

そんな時は、ふらっとコーヒーを飲みに行ったり、まるるんと握手したり、それぐらいの関わりでもいいんですよね。

熱量が高い時は、みんなで笑い合ったり、ハイタッチしたり。高蔵寺にはいろいろな人がたくさんいるから、どんな自分でもいいんだと思わせてくれるのだと思います。

安泰なまちなんて、どこにもありません。自分を安泰にして、そんな自分がこの町を安泰にしていくんだ!という思いを持った、今日の登壇者の方たちがいる限り、このまちには確かな未来があると確信しました。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

 

日夜、各方面で走り回っている12人の登壇者はもちろんだが、平日の18時30分に間に合うように、仕事を中断してこの場に集まってきた観客もいたはずだ。彼らこそが、高蔵寺の未来を「安泰」にしていく主役なのだ。

駄菓子屋の復活エピソードからスタートした「高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット」。実は筆者も小学校2年生まで、公務員宿舎という団地に住んでいた。

  • 小銭を握りしめて駄菓子屋に走った。

  • 自転車で立ち漕ぎをして坂道を登った。

  • 団地内のちょっとした森で木登りを覚えた。

  • 隣に住んでいた同級生の家は、自分の家だと思っていたほど行き来していた。

あの時のワクワク感を、遠い記憶の奥から呼び覚ませてくれた。
「団地味ラムネ」の思い出の21文字。
筆者だったらどう書くか……??

ラッパの音に
豆腐を買いに走った
お手伝い

そんなことを考えていたら、あっという間の3時間だった。

高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミット

団地味ラムネプロジェクトホームページはこちら

1回高蔵寺ニュータウン沸く湧くサミットイベント概要ページはこちら

この体験記を書いてくれた人&写真・動画を撮ってくれた人

執筆
真下 智子さん|Satoko MASHIMO
フリー編集者・ライター。同志社大学社会学科新聞学専攻卒業。
食品メーカーの社員として、社内報を担当したことからライター業へ。ブライダル、旅行、企業広報誌と紙媒体からウェブまで、幅広い媒体に執筆。心の声を聞き出すインタビューをモットーに、これまで3,000人以上の人にインタビューを行ってきた。あんこと温泉をこよなく愛する、二児の母。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。
satchy@sc.dcns.ne.jp

写真・動画撮影
野村 優さん |Yu NOMURA
昭和54年生まれ。岐阜県出身。人物、商品、建築、料理、映像などを撮影するプロカメラマン。大学でグラフィックデザインを学んだのち、レコード製作/販売会社、オンライン音楽配信会社、ECサイト運営会社を経て独立。野村優写真事務所を開設。2014年7月、「さぁ、みんなでカメラ楽しもう!」をテーマに「撮れる。魅せる。伝わる。カメラ講座」開始。岐阜、名古屋、東京、大阪、神戸ほか全国に展開中。
趣味は、ジャズのレコード収集、DJ、ハーブを使った料理。
素敵、かっこいい、面白い。そう思った時がシャッターチャンス。
その気持ちが写真に写り込むように。
https://yunomura.net